「お父さん、僕、野球やりたい!」
ある日突然、息子にそう言われたとき、思わず笑顔になりながらも、心の中では「いや、親がまったく野球知らないのに大丈夫かな…」と不安がよぎったのを今でも覚えています。
私自身、学生時代は文科系部活、野球観戦もほとんど経験がありません。そんな“野球ド素人”の親が、子どもの夢を応援するために何ができるのか。悩みながらも試行錯誤した日々の中で見えてきた「未経験なりのサポート術」を、体験談を交えてご紹介します。
未経験だからこそ悩んだ「何をすればいいの?」問題
息子が小学校2年生の春、同級生が入っていた少年野球チームに興味を持ち、体験会に参加。
キャッチボールもまともにできなかった私にとって、「親の協力が大事」というコーチの言葉は少々プレッシャーでした。
他のお父さんたちはバリバリの野球経験者。グラウンドでノックを打ったり、スコアをつけたり…。
「正直、できる気がしない」と尻込みしそうになりましたが、「できないなりに、親なりにできることから始めよう」と気持ちを切り替えました。
未経験親が実践した!子どもを支える5つの練習サポート術
一緒に素振りカウント係をする
最初にやったのは“素振りのカウント係”。
バットの持ち方やフォームは正直わからない。でも、「声をかける」「数字を数える」ことならできます。
「10回できたね!次はもう10回」「フォームきれいだったよ」と、数えるだけでなく声をかけ続けることが、息子にとってのモチベーションになったようです。
「お父さんが見てくれてる」と感じるだけで、子どもは頑張るんだなと実感しました。
失敗を責めないキャッチボール
キャッチボールも最初はおっかなびっくり。私はグローブのつけ方もよく分からず、ボールはよく落とすし投げても全然まっすぐいきません。
でもそれが逆に良かったのかもしれません。「お父さん、どんまい!」と息子が笑ってくれて、失敗することへの不安がなくなったようです。
「正確じゃなくても、笑いながらできればOK」と割り切ってからは、毎週末のキャッチボールが親子の楽しみになっています。
YouTubeで一緒に学ぶ時間をつくる
ルールもポジションもわからないので、YouTubeの野球初心者向けチャンネルを一緒に観るようにしました。
「これがセカンドかー」「この投げ方って速そうだよね」と親が興味を示すと、子どもも食いついてきます。
ときには息子の方が先にルールを覚えていて、「それはアウトになっちゃうからダメだよ」と教えてくれるように。
“一緒に学ぶ”姿勢が、子どもの自信や知識の定着に繋がっていくのを感じました。
応援と観察を意識した“見守り”の力
試合や練習の見学では、派手な声援を送ったり、技術的なアドバイスはできません。でも「応援」と「観察」は誰でもできます。
試合の帰り道、「今日は守備のときすごく声出してたね」「あのヒット、良かったよ」と具体的な言葉をかけるようにすると、息子の目がキラッと輝きます。
“見てくれてる”という安心感が、子どもの自信につながると実感した出来事でした。
道具のメンテナンスを一緒にやる
練習後のグローブやスパイクの手入れも、未経験でもできるサポートのひとつ。
手順は本や動画で学べばOK。むしろ、子どもと一緒に“覚える過程”も楽しいです。
わが家では「野球道具お手入れタイム」と称して、週1で親子でオイルを塗ったり、乾いた布で拭いたり。
「このグローブ、大事にしようね」と話しながら過ごす時間が、親子の信頼関係を深めてくれました。
他の未経験ママ・パパの工夫体験談から学んだこと
ケース①:ママでも送迎だけじゃない!“記録係”で貢献
同じチームのお母さんは、「練習についていっても、最初はなにをしていいか分からなかった」と言っていました。
でも、スマホで練習風景を録画して見返すことで、「あの時フォームが良くなってたね」「もっと声出してたよ」と振り返るようにしたところ、子どもも「ちゃんと見てくれてる」と喜んでいたそうです。
ケース②:祖父が“キャッチボール係”に就任
野球経験のないパパの代わりに、70代の祖父がサポートに回った家庭もあります。
「昔は野球少年だったから」と、キャッチボールに付き合ってくれるようになり、親世代ではできない応援の形に。
孫とキャッチボールをするうちに、祖父の健康管理にも良い影響があったとか。親子三世代で野球を楽しめるなんて素敵ですよね。
ケース③:野球知識ゼロでも“ごはんサポート”で貢献
あるママさんは、「野球のことはわからないけど、ご飯だけはがんばる」と決めて、試合前日には好物の唐揚げやおにぎりで応援しているそうです。
「体力勝負のスポーツだから、母の愛でエネルギー補給!」と笑っていましたが、これこそ究極のサポートだなと感じました。
未経験だからこそ気をつけたいポイント
技術的なアドバイスを無理にしない
未経験の親がやってしまいがちなのが、「なんで打てないの?」「もうちょっとちゃんと投げなよ」といった技術的な指摘。
でも、それがかえって子どもの自信を奪ってしまうこともあります。私はそれに気づかず、「もっと前で取れよ」と言ってしまい、息子が泣いてしまった苦い経験があります。
それ以降は、「いいとこ見つけて褒める」ことに意識を切り替えました。
他の親と比べない
どうしても「他のパパはグラウンドでノックを打ってる」「あのママはルールに詳しい」など、他人と自分を比べて落ち込むことがあります。
でも、それぞれができる形でサポートすればいいと割り切ってから、気持ちが楽になりました。
「子どもが頑張っている姿を見て応援する」——それだけでも十分に価値があるサポートです。
子どもの“ペース”を大事にする
「早く上達してほしい」と親が焦ってしまうと、子どもにとってはプレッシャーに感じることも。
私も一時期、「もっと練習したら?」「次の試合、ちゃんと活躍しようね」などと言ってしまい、息子が萎縮している様子を見て反省しました。
それ以来は、「楽しい」が続くように寄り添うスタンスに変えたところ、結果的に自然と上達していきました。
まとめ:未経験の親だからこそできる、一番のサポート
野球経験がなくても、子どものサポーターになることはできます。
むしろ、「一緒に覚えていく」「見守ってくれる」存在として、子どもにとっては心強い味方になれるのです。
私自身、右も左も分からないままスタートしましたが、子どもとのキャッチボールや素振り、道具のお手入れを通じて、今では「お父さんと野球するのが一番楽しい!」と言ってくれるようになりました。
- 素振りの数を一緒にカウントするだけでも十分
- 上手じゃなくても、キャッチボールを笑顔で楽しむ
- 一緒に学ぶ姿勢が、子どもに安心感を与える
- 道具の手入れは親子の“習慣”にもなる
- 「できる形で支える」ことを忘れなければ大丈夫
野球未経験の親だからこそ、一緒に成長する喜びがあります。
この記事が、同じように不安を感じている親御さんの背中を少しでも押すきっかけになれば幸いです。
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