「お父さん、キャッチボールしよう!」
そんなひと言をきっかけに始まった、わが家の週末習慣。
最初は単なる“野球の練習”という意味合いでスタートしたものの、いつの間にかキャッチボールは、子どもの本音や感情に気づくための「親子の会話タイム」に変わっていきました。
この記事では、実際にわが家で行っているキャッチボールを通じた“親子の絆づくり”について、体験談を交えながらご紹介します。
キャッチボールの“力”は技術だけじゃない
「キャッチボールは野球の基本」とよく言われますが、それ以上に、親と子の距離をじんわり近づける力があると感じています。
・正面を向かず“横並び”という安心感
・話すより“投げる”というシンプルなやり取り
・沈黙も許される、不思議なリズム
この独特な間合いが、普段は口を閉ざしがちな息子にも「今日学校でさ…」と話しかけさせる“魔法の空気”をつくってくれているのです。
わが家流・キャッチボール中のコミュニケーション術
「ナイス!」から始まる肯定コミュニケーション
キャッチ成功のたびに「ナイスキャッチ!」「うまいじゃん」と声をかけるだけで、子どもの顔がパッと明るくなります。
私が意識しているのは、「ミスを指摘しない」ことよりも、「できたことに反応する」こと。
“技術を教える”より“気分を乗せる”を大切にすると、自然と会話が生まれてくるようになりました。
「沈黙もOK」の空気づくり
キャッチボール中、あえて黙って10球ほど投げる時間も作ります。
息子はときどき、その間に自分からポツリと「今日、友達とケンカした」とか「理科のテスト失敗した」とつぶやいてくれます。
無言だからこそ、“投げ返す”ことで「聞いてるよ」「大丈夫だよ」と伝えられる——これは会話とは違う“非言語のコミュニケーション”として、キャッチボールの魅力だと思います。
「質問」より「感想」で引き出す
「学校どうだった?」という質問は、“報告義務”になりがちです。
代わりに私は、「今日の服、なんか元気そうな色だね」「そのグローブ、めっちゃ使い込んできたなぁ」といった感想を投げかけます。
そうすると、息子のほうから「うん、今日ちょっと楽しいことあってさ…」と、自分から話を広げてくれることが増えました。
「野球やめたい」と言えなかった息子
ある日、キャッチボールをしていた息子の動きが明らかに鈍く、気持ちも乗っていない様子でした。
私はあえて何も言わず、ゆっくりボールを投げ続けました。すると数分後、「俺、野球もうちょっと疲れたかも」とつぶやきました。
「そっか。頑張ってきたもんな」と返すと、安心したように「怒られると思った」とポツリ。
その日から、本人のペースに合わせた関わり方を意識するようになり、結果的にまた自分の意志で野球に戻っていくことができました。
他のご家庭のキャッチボール活用術
小5男子とお父さん:「反抗期」に効くキャッチボール
「何を言っても無視」「LINEも既読スルー」だったというお父さん。
キャッチボールだけは付き合ってくれる息子と、無言の中でもボールを交わすことで少しずつ会話が復活したとのこと。
最近では「今日、部活の先輩に褒められた」など自発的に話すようになり、「キャッチボールが心の扉だった」と語ってくれました。
小1女子とお母さん:ミット代わりにぬいぐるみ!?
野球初心者のお母さんは、最初グローブを持っていなかったため、娘とぬいぐるみをミット代わりにしてキャッチボールをしていたとか。
「変わった遊び」からスタートしたけれど、今では練習後の会話が日課になっているそうです。
キャッチボールを習慣にするコツ
- 時間を決めすぎない:10分でもOK。気軽な気持ちで。
- “練習”ではなく“遊び”の感覚で:競わず、笑いながら。
- 道具にこだわらない:バドミントンラケットやテニスボールでも代用可。
- ルールを作らない:自由に、言葉もボールも投げ合う空間に。
まとめ:親子の心をつなぐ“ボール”というメッセージ
キャッチボールは、単なるボール遊びではなく、「気持ちを受け取り、返す」ための手段になります。
上手に話す必要も、完璧に捕る必要もありません。
そこにあるのは、「一緒にいること」「続けること」「投げ返すこと」だけ。
今日1球でも投げ合えたら、それが親子にとって十分なコミュニケーションです。
ぜひ、肩肘張らずにキャッチボールを始めてみてください。
言葉以上に伝わるものが、きっとそこにあるはずです。
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